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2009年3月10日 (火)

『彼女の名はサビーヌ』

女優である姉が自閉症の妹を撮ったドキュメンタリー映画『彼女の名はサビーヌ』を観た。

28才まで「少し変わった行動をする子」として家で育ったサビーヌはピアノでバッハを弾き、ダンスに興じ、家族旅行を楽しんでいた。兄弟姉妹が大人になって次々と独立していくことがきっかけで精神的に不安定になってしまい、的確な診断が下されないまま病院で過ぎた5年の間に体重は30キロ増え、身体能力を失くしてしまったのは薬物の大量投与のせいか?

退院して施設で暮らす38才になったサビーヌとしなやかに動き回る意思の強そうな目をした過去のサビーヌが交互に映し出される。同じ人物であることが信じられないぐらいに変化してしまったサビーヌに驚いてしまう。

現在の妹をカメラ越しに冷静な視線で見つめる姉。感傷的な感情の揺れはほとんど感じさせないけれど妹への愛が伝わってくる。

画面の中のサビーヌの行動は時に2才の息子に見えたり年老いた祖母に見えたりした。無垢。姉への過剰な思慕。感情表現の稚拙さ。計算がない。

「トイレに落としたくない」から鍵付きのバスケットに人形をしまうサビーヌや買い物に行きハンバーガーをおいしそうに食べるサビーヌを観ているとだんだん私もサビーヌに愛着が湧いてくる。

自分の妹がもしサビーヌのように入退院後で人が変わったようになってしまったら、取り戻すことのできない病院での5年間を想像してどんなにか切なくて胸が苦しくなってしまうだろう・・・と、隣に座って一緒に映画を観ている2才違いの妹を想った。

監督自身が「政治的な意図をもつ」と言いきるこの映画によって、フランスの政治家のこの問題への視線が変わってきたという。自閉症者とその家族の多くの苦労と悲しみが減る一歩となるかもしれない。少なくとも私自身はこの映画で自分が知らなかった世界を垣間見ることで自閉症者への理解を深めるきっかけになったと思う。

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