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2006年7月19日 (水)

『魔女の薬草箱』

ここ10年、魔女について取り組んでいらっしゃったドイツ文化のスペシャリスト西村佑子さんの著作『魔女の薬草箱』(山と渓谷社)を読みました。

魔女と言えばホウキにまたがって空を飛んでいるイメージがありますが、魔女たちは「空飛ぶホウキ」を持っていたわけではなく、空を飛ぶための軟膏を自ら作りそれを体に塗って空を飛んでいた!なんていう驚きのエピソードからこの本は始まります。「空飛ぶ軟膏」のレシピは不明ですが、「魔女の軟膏」のレシピが3つ紹介されていて、レシピに登場する薬草についての詳しい記述があります。こうなってくると、実際に作ってみたくなるのが人情というものですが、レシピの中身は薬草ばかりではなく、阿片や人間の脂肪、新生児の肉(!)などが必要ということで、怪しげにぐつぐつ煮え立つ大鍋をかき混ぜる魔女のイメージがよみがえってきます。

もうひとつ、私が興味をひかれたのは魔法の薬草の王様と言われる「マンドラゴラ」の項目です。英語では「マンドレーク」。この名前でピンとくる方もいらっしゃるかと思いますが、『ハリー・ポッターと賢者の石』で魔法学校の生徒たちが引っこ抜いていた、世にも奇妙な植物がこの「マンドラゴラ」です。有毒な成分を持つこの植物、大きな葉はふさふさした人間の髪の毛、太く2つに分かれた根は人間の下半身のように見えることから恐ろしい言い伝えが。マンドラゴラの根は掘られるときに恐ろしい悲鳴をあげるので、掘る人は耳栓をしないと発狂するか死んでしまうというのです。
とっても怪しく恐ろしげなマンドラゴラですが、日本語では「恋なすび」、ドイツ語で「愛のリンゴ」と訳されていて、古代エジプトでは3大媚薬の一つに数えられていたそうです。

「魔女」というキーワードをもとにシェイクスピア『夏の夜の夢』やゲーテの『ファウスト』、ワーグナーのオペラなど様々な芸術作品の中でのエピソードが紹介されているのも、この本の大きな魅力となっています。また、薬草のイラストや魔女たちが集まるサバト(黒ミサ)の図版などもたくさん掲載されていて目でも楽しめる内容となっています。

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